|
| 昨年ごろからブームになっている登山。その中でも女性の登山者を「山ガール」と称し、登山に対する注目が高まっています。当初は、話題先行のテレビや雑誌がファッションや女性向けアイテムを紹介するばかりで、実際の登山とは距離があり、メディアミックスによる流行かと思っていました。 ![]() しかし、天気のいい土・日曜日には、雑誌から抜け出たような山ガールが早朝から電車に乗り込み、奥多摩の御嶽山や高尾山方面への路線に向かっていく姿を何度も見かけました。つい2・3年前まで登山好きは、ムサイ感じがする「山男」か、自然志向の老夫婦というのが通り相場でしたので、まさか東京から登山の流行を発信するとは、誰もが想定外だったと思います。最近では、山ガールに続いて「釣ガール」や「森ガール」なども出現しており、自然の中で遊び楽しむ事が一過性のファッションで終わる事無く、いつまでも続いてほしいと願っています。しかし、昨今の世相でなぜ「山ガール」が出現したのでしょうか。 今では下火に向っているパワースポットブーム。以前までの多くの女性達の動向は、縁結びや美容に何だかご利益がありそうな場所を巡って散歩をし、魅力アップを図るのが、おしゃれな?休日でした。そして、さらなるパワーを求めて、山頂にある本宮や寺院へとお参りするようになります。山道のような参道を登っているうちに、悟りのような新しい発見をしました。それは、分単位のツアー旅行より充実している事と楽しみながらの体力作りができる事、そして何よりも「清々しい事」。そして、周りを見渡せば、日本は世界有数の火山国ですから、立派な山が身近にいくつもあることに気付いたのです。 太古から続いている山に対する意識が、現代的な山岳信仰として再び蘇ったという事です。日本は火山列島というように、活動中の山がとても多い国であり、活動しているという事は、それだけの生命力に溢れているという事です。例えば、火山から噴出する火山灰は、一時的に避難を要しますが、土地に確かな豊かさを与えてくれます。また、季節ごとに降る大量の雨や雪は、深い谷での急流で水にたっぷりと酸素を含ませて、清流になってから、次の雨期が到来するまでゆっくりと時間をかけて村里に流れてきます。川の流れは水だけではなく、肥沃な砂や土を運び、下流に生物が棲みやすい環境を作り出してくれます。つまり、生命の象徴である山を登る事によって、自己の生命を復活させるという事が「癒し」なのです。また、「火」は文明の象徴であり、人間の進歩は「火」と如何にして関係していくかが、重要な事でした。火を扱うことに関しては、昼夜問わず細心の注意を払い、決して蔑ろにすることはありません。何故ならば、一時でも目を離し失火してしまうと、人間の力では止める事のできない事態になってしまう事をよく承知していたからです。 このように「火」は、人智を超えた存在です。ですから、より大きな力を秘めている山を「霊山」また、神が降臨し宿る「神奈備山」として神聖視し、崇拝して祭祀を行ってきました。霊山また神奈備山の代表といえば「富士山」であり、信仰のある方は、 入山するにあたり精進潔斎を心がけます。また、出雲大社の宮司職(出雲國造)を継承する際には、火継、或いは神火相続という厳重な儀式が行われます。 出雲国造の火継は、天津日嗣と同意義であり、火継は霊継と云う事に他なりません。日嗣とは、連綿として無窮につらなる永遠的な継承の事であり、始祖の魂を継承することを云います。代々の出雲国造は、神代からの約束事に従って天穂日命の魂を継承する霊継式を行い、独立した人格でありながら天穂日命としてあり続け、祭祀が途切れないように努めなければなりません。「ひ」とは、大和ことばで火または霊や魂であり、生命力の根源を象徴しています。山ガール達は、知らず知らずのうちに神聖な所へ行っては自己の霊性や生気を蘇らせ、六根清浄を直感的に感じとっているのでしょう。おしゃれなレジャーとしての登山であっても、内容は修行と類似しており、少なからず何かしらの神秘的体験・奇跡的体験を経験しています。この経験は、とても幸福感や満足感のある感動体験であり、ますます山に魅せられてしまいます。 日本の原始的な信仰の中には、自然崇拝があります。山や森や海には、それぞれの神さまが鎮まっていて、犯してはならない約束事を守りながら、共存共栄の関係を築いてきました。しかし、経済発展と引換えに神さま達との約束事を破りました。 ![]() 今、その事への反省をし、再び人と自然との共存共栄をはかるべき時にきました。人が森によって癒される事は、科学的にも証明されています。そして、出雲国造と同様に、私達一人ひとりは、始まりの親から魂を受継いでおり、それぞれの中に神性・霊性が宿っています。決定的な違いは、始まりの親が明確ではない事ですが、それよりも注意したいのが、体内の宿っている神性・霊性な魂を汚さぬ事です。魂を清浄に保つためにも、山や海などの自然へ積極的に係わり、目に見えない魂の力を十分に発揮させましょう。 | ||
![]() |